足首の捻挫〜アイシングを再考する〜

宇都宮市JR岡本駅より徒歩5分。
可動域向上・動作改善・強化による症状の根本改善を目指した施術とパーソナルトレーニングを提供する鍼灸接骨院トレスです。

今回は足首を捻ってしまった場合の対処について。

一般的にはRICES処置に代表される処置がしられていますが、ここ最近では治療家やトレーナーの間でとくにRICESの『I』の部分、アイシングについて色々な議論が盛んにされています。

今回はそのあたりも含めてご紹介します。

RICES処置とは

RICES処置とは簡単に言えば怪我をした直後の処置方法のこと。

Rはrest(安静)、Iはice(冷却)、Cはcompression(圧迫)、Eはelevation(挙上)、Sはstabilized(固定)のこと。※スペル自信なし

この中の『ice冷却・アイシングは本当に有効なのか?』の議論が活発です。

というのも、このRICESを提唱した医師が2014年に『RICES処置は回復を遅らせるかもしれない』と言い出したからみたいです。

アイシングが疑問視される理由

そもそもの話ですが、怪我などで起こる『炎症』は決して悪いことではありません。

確かに炎症が起こることで痛みを発するのですが、組織が治る過程において『炎症』は必須です。

少し突っ込んで話をすると、怪我により損傷が起こるとマクロファージというものがIGF−1というホルモンをダメージを受けた組織に送ります。

そして、このIGF−1が組織を修復するのに大切なホルモンで、これがないと治りが悪い訳です。

で、ホルモンは血行を介して作用するのですが、アイシングにより血行が悪くなりIGF−1の放出を妨げるから、ということのようです。

要約すると『冷やして血行悪くなって治す物質が流れてこない』といったところでしょうか。

その他、神経・靭帯・筋組織・リンパなどへの影響も言われており、ネガティブな論文も多くあったりします。

アイシングの利点は?おこなう時間は?

ここまでネガティブなところばかり紹介しましたが、利点もあります。

それは『痛みの緩和』です。

アイシングによる冷却処置によって神経とその他の組織の接続を断ち、痛みを感じる閾値を変化させるということ。

ネガティブな論文でも、本来の回復に関して言えばマイナスかもしれないが、試合中などで緊急に復帰しなければならない場合には有効と言われています。

また、動作をみる当院としては、痛みを抱えて生活することで代償動作が起こるくらいなら、多少、組織回復の遅延が起こったとしてもその痛みはコントロールすべきと考えています。

そういった考えから当院では足首などの下肢の急性捻挫に対しては冷却を行うことも多くあります。

冷却する時間について、ある論文では『20分以上のアイシングはアスリートのパフォーマンスを低下させる』といったものもあります。

そういった観点からも、長くても『20分以内』というのが一つの結論です。

欧米ではRICES処置が見直されている

実はこのRICES処置は約40年前に提唱されたものです。

10数年前は『水を飲むな』が今では『飲め』になっているように見直されるのも仕方ないことです。

日本ではアイシングのネガティブな意見はまだ少数ですが、欧米の論文では懐疑的であるというのが一般的なようです。

RICESの『C』圧迫についても有意差が見られないとも言われているくらいです。

また、医師・理学療法士・トレーナーの方々の間では最近そういった議論が活発にされていますが、未だに接骨院などの療養費の項目にも『冷罨法』という項目があったりします。

我々の業界が取り残された感は否めませんが、鍼灸接骨院トレスは遅れないように必死に付いて行きたいと思います。

ここまでRICES処置の懐疑的な紹介になりましたが、当院の考えは組織の早期回復と同じくらい『痛みがもたらす動作への悪影響』も考慮しています。

アイシング自体が懐疑的であっても痛みによる動作不良が起こるのなら、アイシングによって動作不良の発生が抑えられるならその方法を選択します。

何が正解かはその人その人で違いますので、ご不明な点や判断に迷う場合には鍼灸接骨院トレスにご相談ください。