2年続いた野球肩

宇都宮市JR岡本駅より徒歩5分。
可動域向上・動作改善・強化による症状の根本改善を目指した施術とパーソナルトレーニングを提供する鍼灸接骨院トレスです。

先日来院された野球少年。

中学1年時から肩の痛みに悩まされ、病院や接骨院を転々とするも快方に至らず結果としてイップスのような症状も出てしまっていた、2年以上経過した投球時の肩の痛みが主な悩みでした。

結果として肩の関節自体には問題はなく、以前の投稿でも紹介したTOS(胸郭出口症候群)からくる肩の痛みでした。

今回の投稿が、病院その他で治療を受けるものの一向に改善しない肩の痛みにお悩みの方の参考になればと思います。

医療機関での診断は『肩の靭帯の損傷』

元々、ピッチャーであった彼の肩に痛みが発症した当初、医療機関で診察を受けて言われたのが『肩の靭帯の損傷』。

病院のリハビリでは肩自体の治療と、投球時の体重移動などの指導を受けていたとのこと。

同時に地元の接骨院で肩の治療を受けていたが、それでも症状が軽減することはなくピッチャーを断念。

内野手として中学校の2年半を過ごすものの痛みを伴いながらであったこともあり、3年生になってボールを投げる頃にはイップスのような症状も見られる状況になっていました(保護者の方が保存していた動画で確認済み)。

この間、約2年に渡り病院や治療院を転々とするも治ることなく中学校の野球部を引退。

高校でも野球を続けたいという目標があり、『まずは投げられる状態に』ということで当院に来院されました。

肩自体の構造上の破綻は見られず

初診の際に肩のバイメカ的な検査をしてみるものの、肩自体の症状は強くなく、特に他動的に肩を動かした際の痛みはほとんどなかったということから、構造上の破綻は現時点ではあまり考えられないと判断し、『動作不良』を探すことに切り替えました。

結果的に上肢挙上時(腕を挙げること)に頸部筋肉に過剰収縮が見られました。

このことから首回りの状況確認にフォーカスし、投球動作の神経・血管の絞扼を考えました。

特にライトテスト(今回は変則的なライトテストを使っています)と言われる投球時のトップの位置に似たようなポジションを取った際の挙上角度や水平伸展角度によっては橈骨動脈の拍動がなくなるレベルにあり、そのポジションでグーパーを繰り返すと10回も繰り返さないうちに力が入らない状況にありました。

そのような状況を鑑みて肩自体に注目することなく首回りの異常運動および投球時の動作不良を改善させることに重きを置いて施術とトレーニングを行いました。

罰としてやらされた腕立て伏せ

やり方によってはベンチプレスなどは首周りの異常運動を誘発する恐れがあることはこれまでの投稿で訴えてきましたが、今回のケースもそれに似た背景があったかもしれません。

彼が所属していたチームでは当時、練習中にミスをするとその場で腕立て伏せをする罰があったようですが、これもやり方次第ではマイナス方向に働きかねません。

首回りの異常運動を起こさない腕立て伏せのやり方を指導した上でやらせるのなら、たとえ罰としてやらせたとしてもそれは『強化』になるかもしれません。

が、今回のようについ最近まで小学生だった筋力のない子に正しい腕立て伏せのやり方を指導せずにやらせたとすれば、単なる『罰』としかならなかったとも言えてしまいます。

ここまで批判的になってしまいましたが、決して指導者側を責めることも出来ません。

最近では『ブラック部活』と言われるように授業を持つだけでも忙しい先生方にとって、動かし方まで独自に勉強して指導するのは物理的に無理なことかと存じ上げています。(教職の患者さんも多いのでよく話しを伺います)

こういった時に専門家である我々が何か出来ることはないか?と考えさせられます。

特に学生スポーツであれば、やれる期間が限られてしまっているので、痛めてしまうと復帰するまでの時間がロスしてしまうことになります。

今思えば、私自身も学生時代には間違ったトレーニングを数多くやっていた経験があり、実際に野球をして肩肘を痛めた経験もあります。

そのようなことからも学生スポーツにおいては『怪我の予防』ということにも注目していただければ良いのではないかと考えています。

そして、部活動レベルでも専門分野は専門家に依頼できる・依頼しやすい環境が出来てくると良いなと思いますし、依頼があったその時には全力でサポートできるようにしたいと思います。

どこに行っても改善しないなら当院にご相談ください

肩の構造自体に問題があるなら、患部への治療は最も大切な部分になります。

今回みさせていただいた患者さんは、何とか無事に高校入学前までに普通にキャッチボールできるレベルまで回復されました。

今後の目標は『遠い距離を痛みなく普通に投げる』というところ。

構造の問題が亡くなった後にも痛みが続く場合には、肩の損傷以外のところに着目しなければならない場合が多くあります。

それが他の場所に問題があったのか・動かし方に問題があるのか。

当院には今回のような肩の症状に関わらず、『どこに行っても良くならない』方が多くいらっしゃいます。

『本気でなんとかしたい』そんな場合には、鍼灸接骨院トレスにご相談ください。