【2022保存版】筋肉痛を掘り下げる

宇都宮市JR岡本駅東口より徒歩5分。
可動域向上・動作改善・強化による症状の根本改善を目指した施術とパーソナルトレーニングを提供している鍼灸接骨院トレスです。

今回は「筋肉痛」についてエビデンスベースで掘り下げていきたいと思います。

2022年夏の時点での最新の知見になると思いますので参考になれば幸いです。
(新しい文献や論文が発表された場合には別なことになると思いますので、あくまでも2022年夏時点での見解であることご了承ください)

結論:マッサージが良いぞー。

そもそも筋肉痛とは?

正式名称は「運動誘発性筋損傷:EIMD」と呼ばれ、一般的に時間が経ってから出てくる筋肉痛を「遅発性筋肉痛:DOMS」と言い、皆さんが頑張って体を動かした次の日あたりから感じる運動時や圧迫時の体の痛みがそれです。

以前は、筋肉の損傷だったり、乳酸が影響しているなどの説が言われていましたが、近年では神経の圧迫によるものであったり、神経成長因子と呼ばれるものが関与している可能性がある、と言われています。

私も学生時代に筋肉の微細損傷などと教わった記憶がありますが、最近の研究結果によると、筋繊維の損傷に関わるパラメーターが出ないのに筋肉痛が発生していることが示唆されているため、損傷とは別の原因があるそうです。

発生メカニズムに関しては、専門家以外の方が読むと眠くなると思いますのでここでは割愛します。

何すると筋肉痛になりやすい?

筋肉痛になりやすい運動・やり方というものが存在します。

まずはエキセントリック収縮運動と呼ばれる、筋力を発揮しながら筋肉が引き伸ばされる運動は筋肉痛になりやすいと言われています。
(例:手で持った重い荷物をゆっくり下ろすときに上腕二頭筋(力こぶの筋肉)にかかっている収縮など)

上記の例の逆で、荷物を持ち上げるようなコンセントリック収縮運動の方が筋肉痛が起きにくいと言われています。体感的に強度や回数、スピードによってこちらの運動様式でも筋肉痛は起きるはずですが、エキセントリックに比べると起きにくいようです。

また、高強度の運動ほど筋肉痛になりやすく、スピードが速い運動ほど筋肉痛になりやすく、広い可動域でやる運動ほど筋肉痛になりやすいとの結果が出ています。イメージしやすい運動としては、深くまでしゃがんで行う高強度のスクワットジャンプなどがそれに当たります。

その他、下半身より上半身の方が筋肉痛になりやすい、若年者より高齢者の方が筋肉痛になりやすい、などと言われています。
(ちなみに、年取ったから筋肉痛が2日後に来る、という都市伝説に対する研究結果は現時点では無いようです)

筋肉痛が起きてしまったらどうする?

筋肉痛が起きてしまってからやるケアとしていろいろイメージできるかと思いますが、結論から言うと「マッサージが最高、ストレッチはしない方が良い」です。

筋肉痛に対して、マッサージはどの理学療法的アプローチよりも有効な手段であると報告されています(Guo,Jら2017)。また、マッサージの方法は指圧でもオイルで流すようなマッサージでもどのようなやり方のマッサージでも効果があるとされています。

ストレッチに関しては、筋肉痛に対して効果がない(Torres.Rら2012)だけでなく、強度の高いストレッチを行った場合には筋肉痛が発症することが報告されています(Smith,Lら1993)。

その他、アイスバスと言われる11~15度の冷水に11~15分浸かる方法やキネシオテーピング(CW型)は効果があると言われています。

個人的に意外だったのが、欧州の自転車界で流行っていたクライオセラピーと、アクティブリカバリーと言われる、高強度の運動後に心拍数100~120bpm/minくらいの低強度の運動をして回復を促す方法は筋肉痛に対しては効果が薄いという点でした。ただ、これは筋肉痛に対してのことであるので、その他の回復のためのリカバリーにとっては有効であると考えています。

スポーツ選手であれば、高強度の運動後はアイスバスに入ってからマッサージを受けるのがベストですが、一般の方だとそこまでは難しいかもしれませんので、高強度の運動をする日にマッサージの予約を入れておいて、頑張った後にマッサージを受けるのが現時点では一番の筋肉痛緩和と対策になります(お近くの「あん摩マッサージ指圧師免許」を持った先生にマッサージを依頼しましょう)。

筋肉痛がある場合でも運動自体はしても大丈夫ですが、運動のパフォーマンスとしては必ずと言っていいほど低下しますので、対策と緩和はしておきたいところです。

筋肉痛になったら摂っておきたい栄養は?

・クレアチン
→クレアチンと言えば主に筋力やパワー向上に有効な栄養素とされていますが、運動直後の急性の炎症反応にも効果があると言われています。また、持久系運動後のグリコーゲンの補充を促進する作用もあるようです(運動後の回復を促すことができる)。肉や魚またはサプリメントで摂取しましょう。

・ポリフェノール
→筋肉痛の急性期に摂取すると運動後の筋力低下を抑えることができると言われています。果物、お茶、コーヒーなどに多く含まれているようです。

・β-アラニン、ヒスチジンを含む食材
→β-アラニンとヒスチジンが結合してカルノシンという成分が作られ、カルノシンが断続的な無酸素運動に耐えるために働いてくれると言われています。また、抗酸化作用もあると言われています。β-アラニンはサプリで、ヒスチジンは魚から摂取しましょう。

・その他ビタミンD、クルクミンなど

まとめ

対策をしていても運動やトレーニング内容によって筋肉痛は起こるものです。とくに始めてやるトレーニングや負荷になれていない状態では起こりやすいですが、その負荷に慣れてくると起きにくくなってきます(繰り返し効果:RBEと言います)。

起きたときの対処としてはマッサージを受けて、必要な栄養素を補給して回復に努めることが大切です(ストレッチは非推奨)。

筋肉痛があっても運動を中止する必要はありませんが、どうしても運動のパフォーマンスとしては下がってしまいますので、早く回復させて、また質の良い運動やトレーニングを行えるように早く回復させるよう努力しましょう。

また、試合などがある場合には筋肉痛がある状態で試合に臨まなくても済むように、トレーニング計画を立ててくれるトレーニング指導者に依頼しましょう。