宇都宮市JR岡本駅東口より徒歩5分。
可動域向上・強化による症状の根本改善を目指した施術とパーソナルトレーニングを提供している鍼灸接骨院トレスです。
旧態依然。物事の体制や状態などが古いままで変化・進歩がない状態。
とあるプロ野球チームの首脳陣がおっしゃっていた「下半身強化のために内野ノックで追い込ませる」。
私も野球経験者であるので「分かるよー。」という思いも半分「もっと効率よくいこうよ」という思いも半分。
「目的」と「手段」を考えておかないといけない案件です。
目的を達成するための手段
何かの目的があれば、それを達成するためにいろいろな手段を考え実行するかと思います。
件の話で言えば、目的が下半身強化。その手段が内野ノック。
一見すると間違っていないように思う方も多いかもしれません。
私自身も根性論がまかり通っていた時代に野球をやっていたので、その考えも分からないでもない。
実際に強化にもなるかもしれません。
ただ、もっと他に良い方法があるのではないか?と疑うことも大切だと思っています。
例えば、もっと科学的に考えて内野ノックで下半身強化する以上に強化できる方法はないのか?など。
結論から言えば、内野ノックを受ける負荷よりもウエイトトレーニングで負荷をかけた方が十分な強化が見込めます。
が、指揮を執っている方たちは現役時代の実績が十分な方が多く、経験則ベースで指導することがどうしても多くなってしまうのではないかと推測しています。その時代のトレーニング科学は今ほど進歩していなかったでしょうし。
であればチームのS&Cコーチなどトレーニング指導者が主体となって意識改革をしていければいいのですが、海外のプロスポーツと違って絶対的な権限を与えられることが少ない日本では残念ながら難しいところ。
強化のためのトレーニング・技術向上のためのトレーニング
強化トレーニングと技術トレーニング(技術練習)は分けて考えた方が賢明です。
件の内野ノックは本来、技術練習の分野になり、強化トレーニングを別にしておくことで、技術練習の質が上がります。
例を挙げると、ウエイトトレーニングなどの強化トレーニングによって、内野ノックであれば一歩目のスタートを早く切ることができたり、追いつかなかった打球に追いつけることができるかもしれません。送球で言えば、より強いボールを投げられることでアウトにできる確率を上げられるかもしれません。
目的と手段を分けて考えることができれば、限られた時間の中で効率的にレベルアップすることができるはずです。
ランニングで言えば、とにかく走りこんで走力を上げようとするのか、ウエイトトレーニングなどを取り入れてランニングエコノミーを向上させるのか、サイクリングで言えば何100キロも走りこんで脚力を付けようとするのか、ウエイトトレーニングなどで高負荷をかけて重いギアを踏めるようにするのか。その1秒、その1wを削り出したいならウエイトトレーニングをお勧めします。
内野ノックでの下半身強化は一見すると効率が良く見えても、実際には十分な効果がなかった、なんてことは内野ノックを強化トレーニングとして考えたとしたらなら大いにあり得ます。二兎追うものは何ちゃら、ってやつです。
科学が経験則を凌駕することはままあります。
治療においての目的と手段
治療院では多くの場合、治すことが目的となり、そこに至るまでどんな治療方法を取るかが手段になるかと思います。
痛みを止めるのが目的なら痛み感覚のコントロールをすることが手段となるため、施術や物理療法を駆使して除痛を行います。
治すことが目的なら、痛みが止まった時点で治ったことにはならず、組織の損傷が回復しているかまで考えなければなりません。
当院では後者+再発防止を重視するため、そのための手段としての治療とトレーニングを考え処方しています。
最近では物理療法機器も進歩していて、かなり除痛効果の高い機器も出てきていますが、患者さんが痛くない=治ったと思って損傷が回復しきっていない状態で動いてしまい結果として悪化してしまったといった話も見聞きしますので、何をもってして治ったと評価できるのかは重要な部分です。
良く言われる「一発で治る」「たった○○秒するだけで」は例え上手くいったとしても実際には痛みのコントロールができているだけで、組織の損傷が回復していることとは別の話になります。
が、そういう言い方をした方が見込み患者さんの受けが良かったりYouTubeの再生回数が伸びたりするのは実際にあることなので、ビジネス的には有効な手段なのかもしれません。知らんけど。
当院は「1回で治ります」「すぐ治ります」という言い方はせず、もし早く治りそうだとしても「痛み自体は早く引くと思いますが、実際の損傷が治ったり、痛くなった原因が改善するまでにはもう少し時間がかかると思っていてください」と説明しています。
ちゃんと治すことが目的だからです。