私が長距離競技のサイクリストにもウエイトトレーニングを勧める理由

宇都宮市JR岡本駅東口より徒歩5分。
可動域向上・動作改善・強化による症状の根本改善を目指した施術とパーソナルトレーニングを提供している鍼灸接骨院トレスです。

今回の内容は、サイクリストにもウエイトトレーニングをやってもらいたい理由を理詰めでつらつらと。

私の立場は、治療系のトレーナーですので、基本的にはトレーニングをする理由は「怪我からの復帰」や「怪我の予防」となりますが、パフォーマンスアップにつながるトレーニングをすることで、スポーツでかかる負荷に対する余白が生まれ、結果的に怪我の予防につながるとも考えています。

ですので、一般サイクリストの方でパフォーマンスアップに興味がない方でも、怪我の予防としてウエイトトレーニングを取り入れることは大変有効なことであります。その事実は頭の片隅にでも置いて頂けると幸いです。

また、プロ・アマ問わずレースを走る機会がある方において、話を聞いている経験上、ウエイトトレーニングを嫌煙する人も少なくないような印象があります。そういった方にはやらずにいられない理由をこれから述べていきたいと思います。

少々長くなりますがお付き合いください。

ペダリングで起こっていること

日本トレーニング指導者協会の教本によると、ペダリング動作のバイオメカニクスとして、「負荷パワーが大きくなると当然、あるペダリング頻度でのエネルギー消費は高くなるが、エネルギー消費が最低になるペダリング頻度が高くなる特徴がある」と記載されています。

イメージしにくい表現だと思いますのでわかりやすく解説すると、ローラートレーニング等をした時、とくに重いギア比でペダリングをしようとした際に、漕ぎ始めは重く感じると思いますが、頑張ってペダルを回していくと楽になる・軽くなってくるポイントを感じることがあると思います(※慣性などは無視したとして)。

サイクリングは、重いギアを速く回すことが速く走るための絶対条件であります(空気抵抗など諸々は除く)。

TTやヒルクライムレースなどでは高い出力で一定時間我慢するパワー、持久力ともに必要となりますが、例えばレースなどでアタックがかかったとして、上記の楽になるポイントまで5秒で持っていける人と10秒かかる人では、10秒かかる人が5秒で持っていける人の後ろにつくのは大変かもしれません。そうなると展開も大きく変わってしまうかもしれません。

そのポイントまで短い時間で持っていくには高い筋力、ワットが必要になるのは想像しやすいかと思います。

その時に体の中で起こっている代謝様式としては無酸素性の代謝様式である解糖系、状況によってはATP-CP系という代謝になるかもしれません。

その代謝様式を向上させるためには自転車に乗ってのトレーニングよりも、ウエイトトレーニングが有効になります。

自転車の上で1ワット向上させるのと、ウエイトトレーニングをして1ワット向上させるのではどちらが効率がよいでしょうか?どちらの方がより高い負荷をかけられるか考えてもらえれば分かることかと思います。

一方で、先に述べたような楽になるポイントを維持しようとすると今度は心肺系がきつくなってきますので、有酸素性の代謝様式の強化も必要になりますが、そちらはみんな大好き?LT値(AT値)の向上が必要で、それに対しては自転車に乗ってトレーニングすればよいわけです。

持久系スポーツをしている人は筋肥大は最小に、筋力向上を最大に起こしたい

おそらく持久系スポーツをしている方がウエイトトレーニング嫌煙している理由として、「ウエイトトレーニングをすると体が重くなる」と思っている方が少なくないかと思います。

確かに、やり方によっては筋肥大を起こして体が重くなってしまうかもしれません。

また、トレーナーに筋トレのやり方だけを教わってトレーニング内容・頻度・強度などのプログラムを考慮せず自己流でやれば狙った効果が出ないかもしれません。

そういった背景がウエイトトレーニングを嫌煙する理由に繋がっているのかと思います。

自身でしっかりとした知識を持って行うか、トレーニング指導者に依頼して根拠のあるトレーニングプログラムを提供してもらえれば、筋肥大は最小に、筋力が向上するトレーニングを行える可能性があります。

本来、根拠あるトレーニングを行えば、ウエイトトレーニング自体が害になることはありません。

持久系スポーツをしている方にお勧めするのは「高重量・低回数」

まずは、自分が何キロのウエイトを扱えるのか測定する必要があります。例えばスクワットなら何キロ挙げられる等。

それに関してはS&Cコーチ、トレーニング指導者の下、測定してもらうことをお勧めします。

理論上、筋肥大を起こすのは最大挙上重量の80%程度の負荷でトレーニングをした場合。

例えば、スクワット100キロを1回挙げることができる人が80キロの負荷で8回3セットやりました、などという場合。

一方で、筋力向上を目的とした場合、最大挙上重量の90%以上の負荷が必要になってきます。

スクワット100キロがマックスの人なら90キロ3回3セットを休憩をしっかり取りながらやるようなやり方。

面白いことに、90%以上の負荷だと筋肥大が起きにくいと言われています。

基本的に、筋肥大を起こす要因は「トレーニングボリューム」であり、90%以上の負荷だと十分なボリュームを確保する前に神経系が疲労して反復できなくなってしまう、ということのようです。

ここで注意したいのがトレーニングボリュームで、軽い負荷で限界まで追い込んだ際もトレーニングボリュームが十分に確保されることになり、筋肥大を起こす可能性がある、ということ。

よく持久系スポーツをしている方でやりがちな「30回何セット」みたいなやり方は、肥大させたくない場合には注意が必要です。

そういった理由からサイクリストや持久系スポーツをしている方には「高重量・低回数」を勧めています。

また、体重管理が必要な格闘技系の選手のウエイトトレーニングにも該当するかもしれません。

注意点

注意してほしいのは、高重量・低回数は、ある程度の走力のあるサイクリストに対してのやり方です。

初心者の方はまずはウエイトトレーニングに慣れるところから取り組んでいく必要があります。

また、フリーウエイト等で高重量を扱う際には補助してくれる人も必要になってきますので、可能であればトレーニング指導者の下でトレーニングするようにしましょう。

それが難しい場合には、スミスマシーンを有効に使ってもらえるのも一つの手段だと思います。

スミスマシーンの場合は自由度が少なくなってしまうデメリットはありますが、安全性を考えた場合、一人で高負荷トレーニングする際には有効ですので、ジムに通って個人でトレーニングする際にはスミスマシンを設置しているジムを選びましょう。

スミスマシンを利用する際も、月に1回など定期的にトレーニング指導者の下、フォームチェックなどをして狙ったところに負荷がかかっているか確認してもらえるとベストかと思います。

まとめ

・サイクリストなど持久系スポーツをしている方は高重量・低回数のウエイトトレーニングがおすすめ(※初心者は除く)

・やり方だけでなく、トレーニングプログラムも知識を持たず自己流だと狙った効果が得られないかも

・ちゃんとやれれば持久系スポーツをしている方にとってウエイトトレーニングは最良のトレーニングのひとつ