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可動域向上・動作改善・強化による症状の根本改善を目指した施術とパーソナルトレーニングを提供している鍼灸接骨院トレスです。
先日、栃木から輩出した未成年の某プロ野球選手の喫煙、といったニュースが話題になりましたが、法律的な面はもちろんよろしくないことですが、アスリートとして体への影響を考慮した場合、どんなことが起こりうるのかを今回はご紹介します。
ご存知の通り、喫煙での好影響と言えば…。強いて言うなら精神安定剤的なところでしょうか?
愛煙家の皆さんやタバコ業界の方にはネガティブなことしか言いませんので悪しからず。
喫煙で呼吸が変わる?
タバコ自体、嗜好品ですので成人して吸いたければ吸えばよいわけです。
もちろん、未成年はもってのほかで、その他、副流煙がどうこうの問題があるので周りに迷惑をかけないように、というのがモラルですが。
斯く言う私も25歳までは喫煙歴があります。チャラチャラして調子込みたかった時期でもあります笑。
そんな喫煙ですが、以前に呼吸系のセミナー(PRIというもの)で講師の方がおっしゃっていました。
「愛煙家の方は息を吐くのは得意だけど、吸うのが苦手な人が多い」と。
トレスでも呼吸器系のアプローチをしますので、これがどういった変化をもたらすのかは来院された方で指摘された方もいらっしゃると思います。
呼吸がもたらす動作への影響を甘く見てはいけません。
呼吸が変わると何が起こりうる?
まず「息を吸う」ということは基本的に横隔膜の収縮によって起こります。
横隔膜と言えば腹圧をコントロールする上で重要な場所になります。
トレスではよく、体幹についてドラム缶をイメージして説明させていただくことが多いのですが、横隔膜はこのドラム缶で言う天井の部分に当たります。
体幹が強い弱い、といった話も良く挙がりますが、ドラム缶の側面の部分がしっかり機能して内圧が高まっても天井のが締まっていないと力は逃げてしまいます。
息を吸うことが苦手=横隔膜を使うのが苦手=「体幹の力が逃げる可能性がある」とも言えます。
もう一つ、息を吸うことが苦手ということから考えなければならないのは「胸郭の拡張が少なくなる」ということ。
胸郭の運動は、とくに横隔膜を使って息を吸った時に胸の中が陰圧になることで空気が入ってきて肋骨が外旋(開く方向)、吐いた時に内旋(閉じる方向)といった運動が起こるのですが(胸椎の屈曲伸展などもありますがここでは割愛)、吸えないということは肋骨の外旋(=胸郭が開く方向)の運動に制限が起こるということです。
胸郭が閉じっぱなしということは、胸郭が柔軟に動かないパターンに嵌ってしまっているとも言えます。
胸郭が動かないとどうなる?
経験上、愛煙家の方の胸郭は胸側が特に閉じている場合が多く感じます。
胸側の胸郭が閉じているということは背中を反ることができない、ということにもなります。
とくに野球などオーバーハンドの種目の場合、腕を振る時には胸郭(胸椎)の伸展方向の可動性は大変重要なところです。
以前にご紹介した画像でも右の画像のように胸郭・胸椎を伸展させた方が肩が楽に外旋します。
きちんと外旋できると腕の振りがしっかり加速してボールに力が伝わりやすいのですが、左の画像のように楽に外旋できなければ、肩の外旋筋群を過度に使って右と同じ外旋角度までもっていくことも考えられます(その他、関節面の位置関係も関与したりします)。
これが、「肩を壊す」リスクのひとつです。
こういったことからも、「胸郭の動き」を甘く見てはいけません。
喫煙するのは個人の自由だが、スポーツする上でのデメリットは多い
以上のように、喫煙で呼吸が変わってしまうとケガのリスクも上がります。
今回はピッチャーの選手だったようですが、とくに投げなければならないピッチャーが長く選手をやりたいなら、たくさんお金を稼ぎたいなら喫煙はやめた方が良いと、治療家目線では見ています。
数年前から横浜の球団では禁煙を義務付けたことも話題になりました。
記事によると野球を見ている子供への影響が理由の一つでもあったようですが、選手1個人が活躍するかしないかにも関わってくることですので、喫煙はデメリットの方が多いのではないでしょうか?
一般の方でも何かの拍子に腕を頭上に挙げなければならないこともあると思います。
そんな時に胸郭・胸椎が動かないから肩に負担をかけたり、その分腰を反らして負担をかけたり、といったことも考えられますので、愛煙家の皆さんは注意が必要です。
分かっているけどやめられない方。トレスは治療院ですので、禁煙のアプローチはできませんが、禁煙外来がある医療機関の受診をお勧めします。
禁煙して当院で動かなくなってしまった胸郭をまた動くようにするのが、ケガの予防にも繋がります。