膝の外側が痛い~腸脛靭帯炎~

宇都宮市JR岡本駅より徒歩5分
可動域向上・動作改善・強化による症状の根本改善を目指した施術とパーソナルトレーニングを提供している鍼灸接骨院トレスです。

サイクリストやランナーさんが多く悩まされる膝の痛み。

今回は膝の痛みのなかでも外側の痛みを繰り返していた方の症例をご紹介。

痛めていたのは膝ですが、そこに至る経緯をしっかり捉えることが再発しないための課題になります。

「膝が痛いから膝を治療する」だけでは根本改善には至りません。

繰り返す膝の痛みにお悩みの方で、似た症状をお持ちの方の参考になれば幸いです。

膝外側の痛み「腸脛靭帯炎」とは?


【〇で囲った部分に痛みを発することが多い】

太ももの外側に骨盤と脛の骨を結ぶ靭帯があるのですが、それが腸脛靭帯です(図のITB)。

その腸脛靭帯が過度に緊張することで図の〇で囲った部分に負担がかかり炎症がおこるものが腸脛靭帯炎という症状です。

サイクリングやランニングに限らず、日常生活動作で階段を降りるときや歩行の着地時、膝の屈伸運動の際に膝の外側に痛みが出る場合には疑ってみる必要があります。

腸脛靭帯自体が炎症を起こしたり、腸脛靭帯の裏面とその奥にある大腿二頭筋という筋肉や外側広筋といった筋肉たちと癒着を起こして痛みを発することもあります。

基本的にはオーバーユースによることがほとんどで、痛みを発している膝以外の問題を探る必要があります。

また、腸脛靭帯自体は指圧などマッサージの刺激に反応は起こしにくいと言われており、マッサージガンなどの振動刺激が有効である、という文献もあります。なんでも腸脛靭帯部に対する指圧刺激は、腸脛靭帯より奥にある外側広筋への刺激になりやすいとのことです。

そういったことから、現在治療中の方は通院先でどのような治療を受けているかも、腸脛靭帯炎の炎症自体の改善に大きく関与しそうです。

お尻の筋肉の発達具合にも注意が必要

今回のケースでは初回の検査で患側のお尻の萎縮と筋力の低下が見られました。

この段階では膝を痛めてからお尻が萎縮したのか、お尻が委縮したから膝に負担がかかったのかは判断が付きません。

その他、問題が見つかった点と言えば足首の既往歴。

以前に強い内出血を伴う足首の捻挫を患ったことがあることで足部の状態を確認しました。

捻挫歴がある方の足はプロネーション(見た目だけで言うなら偏平足みないな状態を言います)が見られ、足部の機能が良くないことが分かります。

足部の状態と臀筋の関係性は重要

臀筋群が力を発する運動連鎖の過程で足部内在筋(足のインナーマッスルのようなもの)の役割は重要です。

今回のように足関節の捻挫歴がある場合、足部内在筋の働きが弱くなってしまっているケースが少なくありません。

その状態だと地面からの力を十分に伝えることができず、またお尻の力も発揮しにくいために間にある膝が頑張らなければならない状況になってしまうことも考えられます。

ということは、膝が痛くなる前からお尻を使うことができていなかったことも考えられます。

また、足部から関連する運動連鎖の中で、足部の機能低下があると体幹部の力の発揮もしにくくなると言われています。

そういったことから、膝の痛みの施術だけでなく、同時に足部の機能回復、臀筋の強化も行う必要がありました。

実際に膝への施術、関連部位の活性と強化をおこない、その後、歩行とランニングにおける地面への着地と蹴り出しに関する動作改善のトレーニングを行いました。

現在は、そこそこのペースで20キロ走程度はこなせるようになり、春のマラソンに向けて距離を増やしていく目標になっています。

使いすぎて痛くなったものは関連性を探る必要あり

今回のような使いすぎて起きた症状に対しては、患部の治療をおこなっても痛み自体は和らいだかもしれません。

ただ、関連する問題があるなら、そちらを改善しておかないと再発のリスクを取り除くことはできません。

休んでいったん痛みが引いても、運動を再開した時にまた痛みが出るようでしたら治療だけでは十分ではないということです。

また、自身に痛めたこと以外にも問題点が見つかれば、以降の生活やスポーツで気を付けることもセルフケアで根拠のある対策をすることもできます。

当院は、そこまでして本当の「根本改善」になると考えています。

一度治ったところがまた痛み出した、繰り返し同じところが痛くなる…などの症状でお悩みでしたら、一度ご相談ください。

 

2018.1.25投稿
2022.8.23リライト