宇都宮市JR岡本駅近くで根本改善を目指した施術とパーソナルトレーニングを提供している鍼灸接骨院トレスです。症状の緩和はもちろん、可動域向上・強化・動作改善により「症状が出る前より強い身体」を作ることを目指します。
「なぜ呼吸器系のアプローチから始めたのか?」について
まずは他院で原因と言われた【梨状筋】について。
Piriformisというのが梨状筋です。
筋肉の作用として股関節の外旋(大腿骨を介して爪先が外を向くような動き)・外転(開脚のように脚を外に開く動き)・伸展(脚を後ろに伸ばすような動き)があります。
ランニング動作においてとても重要な筋肉である事が想像できるのではないでしょうか?
マラソン選手や箱根ランナーたちの間でもよく悩まされる症状のひとつでもあります。
梨状筋の下を通るSciatic nerveというのが坐骨神経です。梨状筋の緊張が強いと坐骨神経に触ってしまうのも想像できるでしょうか?
ランニング動作に限らず、人間が普段何気なくおこなう動作はひとつの筋肉の動きだけですべてを行うことはありません。
地面を蹴るだけでは走れません。脚を前に運ぶ必要もあります。そう考えることができるだけで原因が梨状筋一択になることはまずないはずです。
今回のケースでは梨状筋の緊張とともに大腰筋の短縮(縮こまってしまっている状態)による股関節のモビリティ(可動性)の問題がみられました。
と、ここまでは流れ作業で施術していない治療院であればオーソドックスな判断基準です。
当院ではもう一歩踏み込んで…
「じゃあ、なんで大腰筋が短縮してしまったのか?」というところも考えていきます。
当院では股関節のモビリティの問題がある場合には必ずと言っていいほど呼吸器系へのアプローチをおこないます。
それは何故かと言うと運動連鎖や筋連結といったものを考慮しているからです(遠かれ近かれ関係しているからです)。
最近では呼吸機能についての理論も広がって来ていて「横隔膜が大腰筋と連結している」ということが知られてきました。
この患者さんの呼吸動作をみさせてもらっても十分な横隔膜呼吸ができていない状況でしたので、今回のケースは坐骨神経痛の原因は梨状筋の緊張ではなく呼吸機能の低下と考えています。
実際のところ、梨状筋の緊張を取って股関節のモビリティを改善すれば坐骨神経痛自体の症状は抑えられる可能性もあります。
ただ、この方のベネフィットは「ランニングが出来るようになること」であり、心肺機能に負荷をかけますので呼吸機能を改善させておかないと、また大腰筋の機能低下~股関節のモビリティ低下~梨状筋の負担増といった流れが予想できます。
最後に
上記のように当院ではそこまで考慮した治療方針を立てさせていただいています。
ですので、1回で完治させるという方法はとっていません。というより本当に根本改善を目指すなら一定期間必要になります。
1回の治療で根本改善というのは「絵に描いた餅」です。人間の身体はそんなに単純ではないのです。
そんな呼吸器系のアプローチ方法について昨年に引き続き7月にPRIセミナーに再度参加しアップデートして参ります。
乞うご期待。
今回のシリーズのまとめ
坐骨神経痛は「お尻の筋肉が硬い」だけが原因ではない。それも単なる結果に過ぎないことがある。もう少し踏み込んでみていくと違った問題が浮き彫りになる事がある。
トレスにはその判断材料があります。本当に治したいならご相談ください。