坐骨神経痛に関してはネットなどでも情報が多く挙がっていますが、だいたいは局所的な対処方法に留まっていますね。
ご存知の方も多いと思いますが、坐骨神経痛は神経の根っこの部分に問題がある場合と、おしりの筋肉で神経を圧迫してしまっている場合があるのですが、今回は後者の坐骨神経痛についてお話していこうと思います。
坐骨神経痛って本当にお尻だけが原因?
一般的に坐骨神経痛になるとお尻から足にかけてのだるさ、しびれ、痛みなどを感じて治療を受けに行く場合がほとんどだと思います。
その状態で病院や治療院などに行くと「お尻の筋肉が硬くなっているのが原因ですね」と診断ないし判断されることがほとんどではないでしょうか?
「根本治療」を謳った治療院・接骨院整骨院も増えてきていますが、そういった判断を基に「お尻の筋肉を良い状態にするのが根本治療」と捉えているところが多いようです。
事実として、お尻の筋肉を緩めることで症状自体は改善することが多いのですが、【宇都宮唯一の根本治療院】を謳う当院としては「お尻の筋肉が硬いのは結果であって、そこに至るまでに何かしら問題がある」と考えています。ここで言う「何かしらの問題」が『原因』であるべきものです。
その何かしらの問題は、モビリティ(可動性)の問題なのか、運動制御の問題なのか、それとも他に問題があるのかいろいろ考えられます。
ここで当院でのモビリティと運動制御の両方に問題があったケースを元に解説しましょう。
ケース① 主訴:お尻からモモ裏にしびれに似た痛み
・40代会社員男性 宇都宮市在住 市民ランナー
・10キロ以上のランニングをすると決まってお尻からモモのうしろ側にしびれに似た痛みを感じる。
・他院で治療を受けるも治療後何日かは調子が良いものの、数日後にまた走ると同じような痛みが出る。そのような状態が2か月ほど継続。
・通っていた接骨院では梨状筋が原因とのことでお尻を中心に電気治療とマッサージを受けていた。
以上のことから梨状筋に対するアプローチだけでは「根本改善」にはならないことがお分かりいただけると思います。
当院の見立て
この患者さんに対しては当院で取り入れている各種検査をして確認したうえで、当院では「呼吸器系へのアプローチ」から開始しました。(もちろん梨状筋に対する局所的なアプローチも行いました)
「なぜ呼吸器系のアプローチから始めたのか?」について
まずは他院で原因と言われた【梨状筋】について。

筋肉の作用として股関節の外旋(大腿骨を介して爪先が外を向くような動き)・外転(開脚のように脚を外に開く動き)・伸展(脚を後ろに伸ばすような動き)があります。
ランニング動作においてとても重要な筋肉である事が想像できるのではないでしょうか?
マラソン選手や箱根ランナーたちの間でもよく悩まされる症状のひとつでもあります。
梨状筋の下を通るSciatic nerveというのが坐骨神経です。梨状筋の緊張が強いと坐骨神経に触ってしまうのも想像できるでしょうか?
ランニング動作に限らず、人間が普段何気なくおこなう動作はひとつの筋肉の動きだけですべてを行うことはありません。
地面を蹴るだけでは走れません。脚を前に運ぶ必要もあります。そう考えることができるだけで原因が梨状筋一択になることはまずないはずです。
今回のケースでは梨状筋の緊張とともに大腰筋の短縮(縮こまってしまっている状態)による股関節のモビリティ(可動性)の問題がみられました。
と、ここまでは流れ作業で施術していない治療院であればオーソドックスな判断基準です。
当院ではもう一歩踏み込んで…
「じゃあ、なんで大腰筋が短縮してしまったのか?」というところも考えていきます。
当院では股関節のモビリティの問題がある場合には必ずと言っていいほど呼吸器系へのアプローチをおこないます。
それは何故かと言うと運動連鎖や筋連結といったものを考慮しているからです(遠かれ近かれ関係しているからです)。
最近では呼吸機能についての理論も広がって来ていて「横隔膜が大腰筋と連結している」ということが知られてきました。
この患者さんの呼吸動作をみさせてもらっても十分な横隔膜呼吸ができていない状況でしたので、今回のケースは坐骨神経痛の原因は梨状筋の緊張ではなく呼吸機能の低下と考えています。
実際のところ、梨状筋の緊張を取って股関節のモビリティを改善すれば坐骨神経痛自体の症状は抑えられる可能性もあります。
ただ、この方のベネフィットは「ランニングが出来るようになること」であり、心肺機能に負荷をかけますので呼吸機能を改善させておかないと、また大腰筋の機能低下~股関節のモビリティ低下~梨状筋の負担増といった流れが予想できます。
最後に
上記のように当院ではそこまで考慮した治療方針を立てさせていただいています。
ですので、1回で完治させるという方法はとっていません。というより本当に根本改善を目指すなら一定期間必要になります。
1回の治療で根本改善というのは「絵に描いた餅」です。人間の身体はそんなに単純ではないのです。
坐骨神経痛は「お尻の筋肉が硬い」だけが原因ではない。それも単なる結果に過ぎないことがある。もう少し踏み込んでみていくと違った問題が浮き彫りになる事がある。
宇都宮市の根本改善を追求する鍼灸接骨院トレスにはその判断材料があります。本当に治したいならご相談ください。